長期保存が不可能な記録材料のための保存プロジェクト

コンテンツ

  1. 公開資料
  2. 調査・研究

概要

これまでの資料保存においては、酸性紙問題やビネガーシンドロームなど、媒体の劣化に力が注がれてきた。これに対して記録材料の劣化については、その重大さは認識されてはいるものの、種類の多さもあって媒体の劣化ほど対策が進んでいるとは言い難い。 しかし近現代資料の記録材料の劣化は、一部では媒体の劣化以上に深刻になっている。なぜならばこの種の劣化は、ある日突然、記録内容が消えていた!という事態になりかねないからである。媒体の劣化が資料の崩壊につながるとすれば、記録材料の劣化は情報の消滅につながると言える。

近現代の様々な記録材料の中で、特に対策が急務であるのは蒟蒻(こんにゃく)版、青焼、感熱紙だと考えられる。

蒟蒻(こんにゃく)版は染料のメチルバイオレットを使用した平版印刷であって、明治から昭和初期にかけての官庁資料に散見される。紙種を問わず紫色の文字で記録されるのが特徴である。
青焼とは複写(コピー)の一種であって、記録材料・記録方法によりシアノ式とジアゾ式に区分される)。シアノ式は青地に白色で記録され、ジアゾ式は青地に青色で記録される。ジアゾ式はシアノ式に比べて保存性が悪いにも関わらず、昭和30~40年代頃の各種資料によく使われている。
感熱紙(熱転写紙)は熱による化学反応で記録され、ワープロやFAXの普及にともなって使用が増加した。

これらは光や熱に弱く、閲覧利用が即資料の劣化(記録材料の退色)に直結する。しかもこの劣化を食い止める手だては無く、情報の消失速度も勘案すれば、現段階では代替保存以外の選択肢が無いと言える。このため経済学部資料室では、長期保存できない近現代資料の代替保存の可能性を探る試みを行ってきた。このページでは本プロジェクトでの成果を順次公表してゆきたい。

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