館長挨拶

東京大学経済学図書館は、主として経済・経営に関する書籍・資料を所蔵する経済学研究科の図書館です。蔵書数は、約83万冊、継続雑誌タイトル数は1,117タイトル(2014年度末現在)であり、経済・経営系では国内有数の専門図書館です。また、蔵書内容も、最新刊の経済学・経営学関連書籍から本図書館をほとんど唯一の所蔵先とする貴重な書籍・資料まで、極めて幅広いことが特徴となっています。

本図書館は、大正8(1919)年に旧法科大学から経済学部が分離し新設された際に、旧法科大学にあった経済統計研究室と商業資料文庫の蔵書をもとに発足しました。その後、関東大震災の火災による消失、思想統制による蒐書の困難、空襲対策としての疎開など多くの困難に直面しましたが、書籍・資料の蒐集への努力は衰えることなく続けられ今日に至っています。蔵書には、アダム・スミスなどの著名な経済学者の旧蔵書やマニュスクリプトを中心とした貴重図書が含まれています。また有澤廣巳脇村義太郎といった本学部名誉教授等の貴重な個人文庫や三菱経済研究所旧蔵資料等の経済研究機関の旧蔵書などのコレクションも保有しています。さらに、本図書館では、戦前期から会社の定款や営業報告書、官庁等の刊行物を組織的・系統的に蒐集してきました。また、最近では企業や団体、個人の一次資料の蒐集・保管・管理にも積極的に取り組み、山一證券資料横濱正金銀行資料等は世界有数の企業資料と評価されています。なお、ユニークなものとしては、日本銀行の貨幣博物館に次ぐといわれる古貨幣古札のコレクションもあります。

本図書館は、学術情報を提供し続けることで、本研究科・学部における学習・教育、研究活動を支える基盤として機能しています。また、学内のみならず全国からのニーズに応えるべく、オープンで利用しやすい図書館としてその機能・サービスの充実に努めています。学内外の関係図書館との相互交流も強化しており、昨年6月には日本貿易振興機構アジア経済研究所図書館との相互利用協定を締結しました。さらに、情報技術を積極的に活用した電子図書館としての機能を強化しています。その一環として、昨年4月からは、東京大学OPAC及び電子情報へのリンクが張られたシラバスブックリストをウェブサイトで公開しました。また、データベースのEngelは、企業資料、政府・地方自治体・労働関係資料、金融政策資料、その他の経済関連学術情報への入口として機能しており、有価証券報告書データベース、古貨幣・古札画像データベース、山一證券資料目録データベースなどもウェブサイト上で閲覧することができます。

現在、本図書館は、赤門総合研究棟と学術交流棟(小島ホール)の二つの建物に分かれて機能しています。一般図書・雑誌は赤門総合研究棟3階の閲覧室で、貴重図書特別資料・企業資料や古文書などの一次資料は、学術交流棟(小島ホール)3階の資料閲覧室で利用に供されています。資料室は資料保存のマネジメント部門であり、保存と利用の両立に積極的に取り組んでいます。なお、学術交流棟(小島ホール)は、小島グループ代表・小島鐐次郎氏からの「図書館振興のための」寄付によって平成21(2009)年に建設されました。地下には、温度・湿度管理を徹底した資料収蔵庫も備わっています。

東京大学経済学図書館は、先人たちの知恵と熱意によって築かれた伝統の上に立ち、情報基盤の機能とサービスの充実に努めています。また、今後も利用者の皆様との対話を通じて、新しい時代における役割を追求していきたいと考えています。皆様の積極的な利用を期待いたします。

平成27年4月1日
東京大学経済学図書館長
佐口和郎

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